Les Arums de Lagrange 2009 [フランス・ボルドー]

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本日のワインはボルドーの白ワイン「レザルム・ド・ラグランジュ」です。

昨日ご来店頂いた常連様。生明 恒一郎(アザミ コウイチロウ)さんに飲んで頂きました。
この生明さんは音楽関係のお仕事をされていまして
ジャズを専門に数々の有名なアーティストのアルバムをプロデュースされています。
お店にも日本、海外を問わず超有名なミュージシャンを連れて来て頂いたり
スタッフ全員をブルーノートのライブにご招待頂いたりと
公私共々大変お世話になっているお客様であります。
しかし、突然お勤めになっていた大手レコード会社を辞め、更なる飛躍の為
来年からアメリカの大学に音楽ビジネスを勉強しに留学されます。

過去の栄光に頼らず、それを踏み台に出来る方は素晴らしいと思います。
僕も5年前、10年前に自分が考えてお客様に出していた料理を見返す事がありますが
今見るとチョット恥ずかしい思いになる事が時々あります。

ですが過去の自分を振り返った時、過去作っていた料理は常に色褪せていて
今自分が表現している料理が生き生きしている。それで正しいと僕は思います。
「あの頃の俺、こんなの作ってて凄かったなー」ていう料理人は大体過去の人です!

長い前置きでしたが、このワインはボルドーのグランクリュ3級の「シャトーラグランジュ」
が造る白ワインです。普段お客様にも「ボルドーの白ワインって珍しいね!」と言われますが
確かにボルドーというと赤ワインのイメージが強い方が多いのかもしれません。
ですが上質なソーヴィニヨン・ブラン種からの白ワインや
セミヨン種から造られる貴腐ワイン等々、沢山の白ワインが造られています。

ここは元々名門シャトーと言われていましたが
1900年代半ばから深刻な経営難で評判も決して良いとは言えませんでした。
味が悪いから評判が落ち、経営難に堕ちいった。ほうが順番としては正しいのかな?

その後1983年、日本の名企業サントリーが経営を引き継ぎました。
フランスのワイナリーが欧米諸国以外の企業の手に渡ったのは初めての事でした。
荒れ放題だった畑の土壌改良から最新の設備投資を行い
ワイン醸造の権威、エミール・ぺイノー博士を招き
サントリーからは登美の丘ワイナリーの鈴田健二氏
(残念ながら2年前他界されましたが、サントリーでは神として語られる素晴らしい方です)
を投入して徹底的な改善を施した結果、飛躍的に品質が向上しました。

私達日本人の勤勉さ、熱意、緻密さ、技術力、確固たる方向性。
その全てのクオリティーの高さをこのシャトーラグランジュをもって
世界に知らしめたと勝手に僕は思っています。
(勿論パナソニックやトヨタもですが、あくまでワインの世界においてです。)

今回の白ワインも、アタックから秋風に頬をなでられたような爽やかな印象から始まり
セミヨン種やミュスカデル種からくる白花やマスカットのような癒しの香りを感じ
その後から押し寄せる程よい厚みと複雑性のある果実香が
心地よい静かな余韻へとバトンタッチします。
「賑やかで派手な始まりから、奥に秘めたチョットだけ小難しい静寂へ」
といった印象の味わいです。

このラグランジュのように不死鳥の如く羽ばたいて
帰国後は日本で、いや世界での活躍をスタッフ一同期待してますよ!
生明さん! Carpe Diem ! (今を生きろ!そして楽しめ!)


田原




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