Chateau Talbot 1993

本日のワインはボルドーのシャトータルボ1993年です。

先週の土曜日にご来店されたご夫婦のお客様が飲まれました。
このお二人が大学時代に出会ったのが1993年だったそうでして
このご夫婦にとっての思い出のヴィンテージだそうです。

日本酒や焼酎と違い、ワインの「ヴィンテージ」という物には
出来、不出来の味わいだけではない、色々な思い出や郷愁も含まれ
「あの当時何やってたかなー」等とその時代にタイムスリップさせてくれるのが
又、ロマンチックでいいですよねー

という前置きはこのへんで、
このワインはサンジュリアンという地区にありまして
グリュオラローズというグランクリュ2級の畑の隣に位置します。

1993年と言う年は決して恵まれたヴィンテージではありませんが
負のヴィンテージを感じさせない、バランスの良い仕上がりになっています。
こういう苦しい年でも合格点の物を生み出すのがプロですね！

僕たち料理人でも、新しい調理場を任せられると
やれ「コンベクションオーブンがない」とか
「真空調理器」がないとか「人が足りない」とか言い訳からはいる奴がいます。
自分で独立したら、こんな何百万もする物簡単に買えません！
売上げが悪いのを環境や人のせいにしたりする奴もいます。
「与えられた環境の中で最高の物を造る」という事ができない人がいます。

という話はどうでもいいので、このワインの味わいですが
強すぎないタンニンと滑らかな果実の旨味が綺麗に溶け込んでいて
ほのかなハーブの香りと、余韻には多少のなめし革やシガーの風味も楽しめます。
濃密な液体分でブルーベリーのようなニュアンスが際立ち
キチッとした輪郭をもちながら、フアッとした優しさも感じ取れる
バランス力に優れたワインです。

次回来られた時は、お二人がご結婚された「1998年のワインを飲みたい！」
と言って頂きました。是非ご用意させて頂きます。

ちなみに、1945年のカスティヨンの戦いで敗れたタルボ将軍の名前が由来だとされています。


田原